片頭痛(8):片頭痛の「前兆」と「予兆」

片頭痛の方の中には頭痛の前あるいは同時に神経症状が出現する「前兆」を自覚する方がいらっしゃいます.

 

「前兆」は片頭痛患者さんの3割程度に見られます.

 

最も頻度が多く有名なものには閃輝暗点という視覚症状があり,視野の中心あるいは周辺からキラキラとした鏡に反射した光の様なものが現れて,徐々にその範囲が大きくなります.

 

「前兆」には,他には体の片側などにしびれなどの感覚症状,言語障害などが含まれ,だいたい5分から60分続きます.

 

ちなみにこれらの前兆が見られる片頭痛と見られない片頭痛で治療は大きく変わることはありません(一部の病態は除く).

 

また,「予兆」と言われるものがあります.

 

「予兆」とは頭痛の前に起こり,「前兆」とは異なり,神経症状とは言いにくいものです.

 

例えば,だるさ,集中力低下,食欲の変化,感覚(光・音)過敏,首のコリ,首の痛み,吐き気,目のかすみ,生あくび,顔面蒼白などがあり,頭痛の数時間前〜1,2日前から出現し,最大で48時間続きます.

 

「前兆」と「予兆」の違いが分かりづらいかと思いますが,我々が片頭痛を診断する場合に気にする事なので,片頭痛をお持ちの方には『そう言えば頭痛の前に何かあるな』という事だけでも診察時にお伝えいただくと大変助かります.

 

話は「前兆」に戻りますが,中には頭痛がなくて「前兆」だけが現れる方もいらっしゃいます.

 

若い時に「前兆」を伴う片頭痛をお持ちの方が,お年を召して頭痛だけなくなって「前兆」だけ残る方もいらっしゃるのです.

 

しかし,これまで頭痛がなくて急に「前兆」のような神経症状だけが短時間続いて繰り返す場合は,一過性脳虚血発作という血管が一時的に詰まってしまう病気かもしれませんので早目に受診されてください.

 

少し難しい内容になりましたが,頭痛に限らず何か気になることがありましたらご相談ください.

2021年03月08日