1.「痛くなってから薬を飲む」の限界
「また頭痛が出たらどうしよう……」と不安になりながらお守りがわりに鎮痛薬を持ち歩いていないでしょうか?痛みが出てから飲むお薬(急性期治療薬)は重要なのですが,頻繁に使うと逆に頭痛をこじらせてしまう(薬剤の使用過多による頭痛)こともあります.
今,片頭痛治療で最も大事なことは,「頭痛発作を起こさせない」という予防療法です.
2.予防療法の切り札「CGRP製剤」とは
片頭痛の原因物質の1つであると言われる「CGRP」の働きを抑えることで,脳の過敏状態を鎮める最新の予防薬になります.従来の予防薬(毎日飲む降圧薬や抗うつ薬などが使われています)に比べ,「効果が高い」,「副作用が少ない」,「片頭痛専用に開発された」という特徴があります.
現在,このCGRPの働きを抑える予防薬には「注射」と「飲み薬」の2つの選択肢があります.
3.【選択肢①】3つの注射薬
1〜3ヶ月に一度の皮下注射で安定した予防薬を発揮します.
<エムガルティ/アジョビ/アイモビーグ>
メリット:飲み忘れの心配がなく,非常に高い頭痛発作抑制効果が期待できます.また,副作用も少ないです
4.【選択肢②】新登場の予防内服薬
<ナルティーク>
2025年に誕生した,新しいタイプの内服する予防薬です.
メリット:「注射が怖い,抵抗がある」という方でもCGRP治療を始めることができます.
特徴:2日に1回定期的に内服することで予防効果を発揮するだけでなく,発作が起こった時の頓服としても使用できます.
5.それぞれに合った「予防」方法を選びましょう
尚,CGRP製剤は治療費が高くなります.
従来の予防薬でもその予防効果は得られることは可能ですし,従来の予防薬で効果が得られない場合にCGRP製剤を選択する方が望ましいです.
頭痛でお困りの場合は,まずは受診されてください.
どの頭痛に当てはまるのかを診断し,患者さんの生活スタイルに合わせて予防薬をご提案させていただきます.
6.予防を始めるタイミング
「月に3,4回以上頭痛がある」,「鎮痛薬を飲む回数が増えている」という方は予防療法を検討するタイミングです.頭痛で予定をキャンセルしたり,寝込んだりする時間をゼロに近づけるために,最適な「守りの治療」を一緒に見つけていきましょう.