今回も頭痛の中でも,とりわけ日常生活に支障をきたしてしまう片頭痛について取り上げたいと思います.
ご自身の身の回りの方を思い浮かべてみると,頭痛をお持ちの方はだいたい女性ではないでしょうか?
実際に頭痛をお持ちの方は女性の方が多く,片頭痛も例に漏れず女性の方が多いです.
片頭痛の頻度は男性では約3%ですが,女性では約13%と約4倍もの差があります.
また,片頭痛をお持ちの女性は30代,40代に最も多いのですが,どちらの年代も頻度が約20%と5人に1人は片頭痛なのです.
想像していたより多いのではないでしょうか.
こんなに頻度の高い片頭痛ですが,前のブログでも述べました通り,医療機関への受診はなかなかされていない状況です.
育児やお仕事で忙しく,なかなか受診されないのかもしれません.
ただ,片頭痛は日常生活に支障をきたすほど辛いことも多いので,頭痛がある中での育児やお仕事は大変負担になる可能性もあります.
正しく片頭痛と診断されれば,その予防薬や発作薬の使用により,片頭痛で苦しむ時間がだいぶ短くなり,育児や仕事にも良い影響を与える可能性があります.
ですので,お忙しいとは思いますが,頭痛でお悩みの方は一度受診するお時間を作っていただけるとありがたいです.
少しでも頭痛から解放される手助けができましたら幸いです.
片頭痛の方がどれだけいらっしゃるかご存知でしょうか?
少し古いデータにはなりますが,日本では約800万人の片頭痛患者さんがいらっしゃって,毎日60万人の方が片頭痛発作に苦痛を感じ,人間らしい生活を妨げられています.
片頭痛を持っている方の4人中3人は日常生活に支障を来たしているそうです.
それにも関わらず,片頭痛の方の約70%は医療機関(病院やクリニック)を受診したことがなく,約50%の方は市販薬のみで対応しています.
頭痛が出たら市販の鎮痛薬を飲むということを繰り返すと,頭痛の頻度はますます増えて,非常に治りにくい「薬剤の使用過多による頭痛」に移行してしまい,治療に難渋することになります.
ですので,頭痛で日常生活に支障が出ている方は,頭痛が治りにくくなる前に早目に医療機関(できれば頭痛専門医が在籍している事が望ましい)を受診し,適切な対応を教わることが大事です.
ちなみに,片頭痛の方で定期的に医療機関を受診している方は約3%,時々通院している方は約12%と,とても低く,当院では受診した患者さんに治療を継続いただくよう,養生も含めたアドバイスもさせていただいております.
また,頭痛による経済的損失は直接的な医療費と仕事ができないことなどによる間接的な損失を含めると年間3000億円にのぼると言われています.
頭痛の治療により経済にも貢献できる可能性もあり,頭痛を正しく診断し,適切に治療を行う努力を続けたいと思います.
片頭痛のイメージとして多いのが
「頭痛が片側にしかないので片頭痛」
と言うものです.
確かに片側に多いことは事実ですし,診断基準項目の1つに「片側性」という項目が入っていますが,必ず片側でないといけないというわけではないのです.
頭全体が痛くなるという方も多くいらっしゃいます.
それよりも,片頭痛の本質としては
①頭痛のために動きたくない,生活に支障が出るといった障害
②吐き気・嘔吐・食欲低下あるいは過敏症状(光・音・におい)
にありますので,片側の痛みと言うことに囚われず,頭痛によって①や②に当てはまるのであれば片頭痛を疑ってみてはいかがでしょうか.
片頭痛に関わらず,頭痛でお困りのことがあればご相談下さい.
片頭痛についての内容が続きますが,お付き合いください.
片頭痛を起こす時には何らかのきっかけがあると言う人が約75%いらっしゃるそうです.
以下にその代表的な項目をお示しします.
内因性因子:月経周期
精神的因子:ストレス,精神的緊張,疲れ,睡眠(過不足)
環境因子:天候の変化,温度差,頻回の旅行,におい
食事性因子:空腹,カフェイン,アルコール,赤ワイン,チョコレート,チーズ,ソーセージ(防腐剤)
その他:歯痛,頸部痛,高血圧
思い当たる項目はありましたでしょうか?
ありましたら,なるべく避けてみてましょう.
この中では最も頻度が高いのがストレスで,次いで睡眠不足が比較的多いとのことです.
ストレスが原因になっている方については,その約60%にストレスがある時に,約25%にストレスから解放された時に片頭痛を起こすと自覚しているようです.
病院で処方されているお薬でも片頭痛を起こしやすいことが言われています.
そのお薬はSSRI(抗うつ薬),PPI(胃薬),経口避妊薬,ホルモン補充療法,鼻粘膜血管収縮薬で,内服されている場合は処方されている先生とご相談してみて下さい.
また,光によって誘発されると言われており,太陽光,自動車のライトが発作の誘因となることもあります.
特に白い色が発作の誘因となるため白色蛍光灯は電球の色(ハロゲン電球)を変えることも必要かもしれません.
最近はスマートフォンが普及しており,さらに仕事でパソコンを使用する機会が多いと思いますが,スマートフォンやパソコンの画面から発せられるブルーライトも片頭痛発作を引き起こしてしまいますので,ブルーライトをカットする設定を行ってみて下さい.
いかがだったでしょうか?
自分の片頭痛が出るタイミングを記録してみて,上記に該当するものがあるか調べてみると,片頭痛と上手に付き合っていけるかもしれません.
参考にしていただければ幸いです.
自分が片頭痛なのかどうかわからない方も多いのではないでしょうか.
自分の頭痛が片頭痛の可能性があるのかどうかを調べるツールがあります.
下記,5項目を読んでみて当てはまる項目があればチェックしてください.
①脈を打つタイミングと同じ頭痛(拍動性)
②鎮痛薬を使用しないと頭痛が4-72時間の持続する
③頭痛が片側にある
④吐き気を伴う
⑤頭痛によって仕事や家事を我慢して何とかやっている,または寝込む
これらのうち4項目に当てはまれば,片頭痛の可能性が高く,2つ以下であれば可能性は低いです.
3つしか当てはまらなくても片頭痛の可能性は充分にあります.
片頭痛の可能性が考えられて,日常生活に支障がある場合は一度,頭痛専門医を受診してみてはいかがでしょうか.
意外に知られていないのですが,片頭痛専用の痛み止めがありますし,また,片頭痛の頻度を減らし,頭痛の強さを弱くする予防薬もあります.
頭痛で困っている方は思っているよりも多くいらっしゃいます.
頭痛でお困りの場合はご相談ください.
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余談になりますが,「へんずつう」の漢字は「偏頭痛」と「片頭痛」のどちらかが使われてることが多いです.
細かい部分にはなりますが,頭痛学会が正式に採用しているのは「片頭痛」です.
遅ればせながら,明けましておめでとうございます.
久々の投稿になり大変恐縮です.
今回は頭痛専門医らしく,頭痛のお話をしたいと思います.
頭痛で病院やクリニックを受診すると,医師から
「肩こりはありますか?」
と尋ねられることがあります.
そこで,肩こりがある,と答えると
「では,『緊張型頭痛』と思うので痛み止めを処方しておきますね」
と鎮痛薬を処方されることがあります.
しかし,鎮痛薬の使用を繰り返すけどなかなか痛みの回数が減らないし,痛みが改善しないことがあります.
『緊張型頭痛』は比較的軽い頭痛で,頻度が高い頭痛です.
頭・首・肩の筋肉のコリが原因になっていますので肩こりを持っていることが多いのですが,その他の頭痛,特に『片頭痛』でも肩こりを持っていることは多いです.
そのため,
【肩こり=緊張型頭痛】
という考えはいささか安易な考えとなります.
上記の様なエピソードで実際に『緊張型頭痛』の方であれば,鎮痛薬で改善することもあるかと思いますが,『片頭痛』であった場合,その鎮痛薬では痛みが改善しづらいばかりか,鎮痛薬の使い過ぎで余計に頭痛を起こしやすくなる可能性があります(『薬剤の使用過多による頭痛』と言います.このお話はまたどこかで).
ですので,頭痛で鎮痛薬を処方されているけれどなかなか改善が得られない場合は『片頭痛』や他の頭痛の可能性もあります.
頭痛の時に,吐き気・嘔吐,光をまぶしく感じる,音をうるさく感じる,動くと頭痛が悪くなる,などの症状を伴う場合は片頭痛の可能性が高いです.
また,片頭痛を始め,頭痛には鎮痛薬だけではなく予防薬もあります.
当院では頭痛専門医により正確に診断を行い,適切な鎮痛薬/予防薬を選択し,生活において気をつけるべき養生法をお伝えいたします.
たかが頭痛と思わずにお気軽にご相談ください.
2020年11月5日にいしつか脳神経クリニックを開院しました.
ありがたいことに開院前に友人,諸先輩,関係者の方々からたくさんのお花や観葉植物をいただきました.
置き場所がないほどで外にも溢れており建物外も一部華やかになっております.
さながら花屋さんの様な香りに包まれています.
開院後は地域の方が来院され,「開院するのを待っていました」というお声も掛けていただき,さらに地域医療貢献に対するやる気が出てきています.
受診して良かったと思っていただけるクリニックになるよう日々精進したいと思っています.
このブログでも皆様の役立つ情報を発信していければと思案中です.
今後ともよろしくお願いいたします.
2020年11月1日(日)にいしつか脳神経クリニックの見学会を行いました.
天気に恵まれ,オープン前よりお待ち下さった方が多数いらっしゃいましたので,予定より少し早めにオープンしました.
見学いただいた方は途切れず,16時終了までに最終的には300名を超える大盛況でした.
来院いただいた方とお話して,脳卒中,認知症,頭痛についての関心が高いことを感じ,少しでも地域の皆様のお役に立てるよう精進することを改めて決心しました.
見学者数は期待の表れとして,スタッフ共々身が引き締まる思いです.
最後に,お越しいただいた地域の皆様,お手伝いいただいた関係者の皆様に大変感謝しております.
しばしの休息をはさんで,いしつか脳神経クリニック
11月5日(木)に開院
です.
よろしくお願いいたします.
ありがたいことに,開業に携わっていただいている方々から,私を模したミニ看板(?)をいただきました.
看板の素材で作られていて非常に丈夫です.
少し小っ恥ずかしい気はしますが,玄関で皆様をお出迎えいたします.
段々と寒くなってきました.
風邪など引かぬよう開院準備を粛々と進めたいと思います.
皆様もお体をご自愛ください.
早いもので開院まで後2週間となりました.
先週からスタッフも入り,鋭意開院準備中です.
毎日毎日,準備すべき事が新たに出て来るのでかなり忙しくしています.
皆様が安心できる空間を作って,皆様をお迎えしたいと思います.
どうぞよろしくお願いします.