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薬剤の使用過多による頭痛(1)

薬剤の使用過多による頭痛という病名があります.

 

少し前までは薬物乱用頭痛と言われていましたが,「薬物」=「麻薬・覚醒剤」などのイメージもありますので,現在の名称の方が少しは物々しさが減りますね.

 

病名の通りですが,頭痛に対して痛み止めを使い過ぎることによって起こる頭痛のことです.

 

急性期の頭痛治療薬を過剰に使用すると痛みの閾値が下がってしまい,頭痛発作が起こりやすくなると言われています.

 

頭痛を抑えるために使っていた痛み止めが,逆に頭痛を起こしやすくしてしまい,痛みが出るたびに痛み止めを使ってしまうという悪循環におちいってしまいます.

 

そういう事実はあまり周知されておりませんので,その事実をお伝えすると,お守りとしていた痛み止めが逆に頭痛の原因になっていたなんて,と皆様は大変驚きます.

 

市販薬が簡単に買えてしまうことも,医療機関が「頭痛=鎮痛薬処方」と鎮痛薬を処方するだけになってしまっていることも問題かもしれません.

 

まずは,元々の頭痛に対する対応が大事であり,痛み止めを飲み過ぎていると実感されている方はご相談ください.

2021年06月21日
頭痛(2):アイスクリーム頭痛

アイスクリーム頭痛と呼ばれる頭痛があります.

 

正式には,”呼ばれていた” となり,現在の正式名称は「冷たいものの摂取または冷気吸息による頭痛」となります.

 

非常に長ったらしい名称ですね.

 

どんな頭痛かというと,皆様が一度は経験がある,または見聞きしたことのあるもので,夏にかき氷を食べた時に頭がキーンとなるアレです.

 

あの痛みに正式な名称が付いているのだと知った時は私も驚きました.

 

ちゃんと診断基準もあり,「冷たい食物または飲み物の摂取,あるいは冷気の吸息による口蓋または咽頭後壁(あるいはその両方)への寒冷刺激の直後に誘発される,前頭部または側頭部の頭痛」と記載があります.

 

簡単に言うと,冷たいもの(固体/液体/気体)が口や喉に触れたら,頭の前か横が痛くなるってことです.

 

治療はあるのかと言うと特になく,診断基準の中にもあるのですが,冷たい刺激を取り除けば10分以内で頭痛はなくなるとのことです.

 

特に片頭痛を持っている人によく見られるそうです.

 

命に関わるものでもありませんが,これからの季節は冷たいものを食べる機会も多くなると思いますので,少し用心下さい.

2021年06月07日
頭痛(1):頭頸部動脈解離

見逃してはいけない頭痛の原因として,「頭頸部動脈解離」があります.

 

なかなか聞き慣れない言葉だと思います.

 

血管には大きく分けて,動脈(心臓から組織/臓器に向かう血管)と静脈(組織/臓器から心臓に帰る血管)がありますが,「動脈解離」は字のごとく動脈に起こる病気です.

 

血管の内側には壁の層があり,何らかの原因でその壁の層が剥がれてしまうことを「解離」と言います.

 

同様の病態で有名な病気には,大動脈(心臓から直接つながっている大きな血管)に起こる「大動脈解離」がありますが,今回のお話は頭や首の血管に起こる病気で「頭頸部動脈解離」といいます.

 

これらの「動脈解離」には痛みを伴うことが多いです.

 

頭や首の「動脈解離」では頭痛や頸部痛が出現し,その痛みは強いことが多いです.

 

痛みだけであれば痛み止めを飲むだけでいいのですが,この病気には非常に怖い側面があります.

 

最初は痛みだけのことが多いですが,そのうち脳梗塞やくも膜下出血などの重症な病気を起こすこともあるのです.

 

特徴的なことは30-40代の方にも起こすことがあり,若くして脳梗塞やくも膜下出血を起こした場合には,我々はいつもこの病気を頭に思い浮かべます.

 

また,「頭頸部動脈解離」は血管造影という侵襲的な検査を除いて,MRIでないと見つけることができません.

 

今まで頭痛をあまり経験したことがない方が突然の頭痛を起こした場合や,頭痛持ちの方でもいつもと違う頭痛を起こした場合には,「動脈解離」に限らず,何かしらの頭の病気を発症している可能性も考えられます.

 

少しでも違和感を感じましたらすぐにご相談下さい.

2021年06月01日