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頭痛(1):頭頸部動脈解離

見逃してはいけない頭痛の原因として,「頭頸部動脈解離」があります.

 

なかなか聞き慣れない言葉だと思います.

 

血管には大きく分けて,動脈(心臓から組織/臓器に向かう血管)と静脈(組織/臓器から心臓に帰る血管)がありますが,「動脈解離」は字のごとく動脈に起こる病気です.

 

血管の内側には壁の層があり,何らかの原因でその壁の層が剥がれてしまうことを「解離」と言います.

 

同様の病態で有名な病気には,大動脈(心臓から直接つながっている大きな血管)に起こる「大動脈解離」がありますが,今回のお話は頭や首の血管に起こる病気で「頭頸部動脈解離」といいます.

 

これらの「動脈解離」には痛みを伴うことが多いです.

 

頭や首の「動脈解離」では頭痛や頸部痛が出現し,その痛みは強いことが多いです.

 

痛みだけであれば痛み止めを飲むだけでいいのですが,この病気には非常に怖い側面があります.

 

最初は痛みだけのことが多いですが,そのうち脳梗塞やくも膜下出血などの重症な病気を起こすこともあるのです.

 

特徴的なことは30-40代の方にも起こすことがあり,若くして脳梗塞やくも膜下出血を起こした場合には,我々はいつもこの病気を頭に思い浮かべます.

 

また,「頭頸部動脈解離」は血管造影という侵襲的な検査を除いて,MRIでないと見つけることができません.

 

今まで頭痛をあまり経験したことがない方が突然の頭痛を起こした場合や,頭痛持ちの方でもいつもと違う頭痛を起こした場合には,「動脈解離」に限らず,何かしらの頭の病気を発症している可能性も考えられます.

 

少しでも違和感を感じましたらすぐにご相談下さい.

2021年06月01日